「泉ちゃん、名残惜しいけど、これ外そうね。」
麻里さんはわたしの背中に手を廻して、女の子のバストを外してくれました。
「ちょっと汗かいちゃったわね。今拭いてあげるから。」
わたしはコットンのキャミソールを着せてもらいました。
「まだ熱っぽいわね。このお薬で楽になると思うけど・・泉ちゃん、大丈夫?」
「ありがとうございます、麻里さん。さっきよりは落ち着いたし、頭も痛くないです。」
「もう、びっくりしちゃった。「華」で急によろけるんだもの。」
美容院をでてから、お姉さまたちと合流してお昼をいただきました。
それから電車に乗って買い物に行きました。
最初は「ファンシー」という洋服屋さんです。
美佳さんに言われたとおり、変におどおどしないように気を付けてお洋服を見て回りました。
一人だったら不安で逃げ出してしまったかも知れませんが、お姉さまたちがそばにいるので安心です。
美佳さんと話していた店員さんがこちらへやってきました。
「いらっしゃいませ。美佳さんの会社の方なんですね。」
由美さんというその店員さんはメガネの似合う小柄な方で、とても若く見えました。
「今度ウチに来た泉ちゃんよ。可愛らしいでしょ?」
「ええ、こうしていても女の子みたいですね。今日はこの方のお洋服を?」
「そうなの。お部屋では女の子でいられるようにみんなの諒解も取ってあるの。お部屋で着るものだから、動き易い方が良いわよね。」
「そうですね。何点か選んで差し上げますね。泉さんはどんなお色がお好きなんですか?」
「えーと、そうですね。落ち着いた感じのものなら、特に色は気にしませんけど。」
「じゃあ、とりあえずはゆったりしたワンピースなど、よろしいと思います。」
由美さんはそういって何点か見せてくれました。
「この辺のものがお似合いになると思います。奥に他のお客様の目に触れない試着室がありますので、袖を通してみていただけますか?その間に他のアイテムを選んでまいりますので。」
あゆみさんとみゆきさんに付き添われて水色でほんのり花模様の入ったワンピースを着けてみました。
「わー、サイズを測らなくてもぴったりじゃない。由美さん、いつもそうですよね。」
みゆきさんが感心したように言いました。
「あの人、センスあるわね。泉ちゃんが着てみるまでちょっと地味だと思ったんだけど。」
あゆみさんも頷いています。
「あの店員さん、すごく若く見えるんですけど、生まれつきセンスがいいんですか?」
「そうそう、由美さんて、はたちそこそこに見えるのよね。でも私より年上なんでしょ?」
「たしか私と同い年だったはずよ。あんな可愛らしいのにセンスのある恋人がいたら、素敵でしょうね。」
ちなみにあゆみさんは28才でみゆきさんより3つお姉さんのはずです。
「あゆみさんだって充分若く見えますよ。」
わたしは思わず言ってしまいました。
「ありがとう、泉ちゃん。だけど、由美さんは何か違うのよね。少女のまま大人になった感じ。」
「その上仕事も出来るんですよねー。あの人の選んだ物って結局愛着が湧いてきちゃう、みたいな。」
「みゆきちゃんもそう思う?地味かなーっていうものを選んでくれるんだけど、これが正解なのよね。」
「おかげで、私の好みも随分落ち着いてきちゃいましたよ。」
「みゆきちゃんがウチに来た頃は派手好みだったものね。あ、泉ちゃん、そのワンピース、気に入った?」
「はい、とっても。お姉さまたちの話を聞いていたら、あの店員さんにお任せするのが一番だと思いました。」
結局、由美さんのセレクトにお任せして、大き目のボックス・プリーツのグレーのスカートと、ウエストが総ゴムでふんわりしたデザインの淡い緑色のスカート、女性らしいデザインのブラウスと、男物にも見えるようなラウンド・カラーのブラウスを買いました。
「泉さん、気に入っていただけましたか?いつかこのお洋服を身に付けていらしてくださいね。」
由美さんの表情は営業スマイルなんかではなく、優しい親戚のお姉さんのようでした。
それから、会社のお得意様でもある、「華」というランジェリー・ショップへ行きました。
会社で何度かお会いしたことのある、美智子さんという社長さんとご挨拶をしました。
先ほど行った「ファンシー」も、この「華」も美智子さんが経営なさっているそうです。
美智子さんは礼子さんよりだいぶご年配で、50才くらいらしいのですけど、優しそうな方で、どこか可愛らしささえ感じる、素敵なオバさまです。
「ファンシー」の由美さんの話で盛り上がっていたのですが、わたしは急に目まいがして、その場に倒れこんでしまったのでした。
「私、泉ちゃんを連れて先に帰るから、みんなゆっくりしていっていいわよ。麻里ちゃん、悪いけど一緒に帰ってくれるかしら?」
「じゃあ、今タクシーを呼んであげますね。泉さん、大丈夫?」
美智子さんが心配そうに訊ねてくれました。
そうして、お姉さまたちより先にお部屋に帰ってきたところでした。
「泉ちゃん、おうどん作ったけど、食欲あるかしら?」
美佳さんが入ってきたので、急にお昼から何も食べてない事を思い出したのでした。
「はい、いただきます。」
「食欲があるってことはいい徴候ね。食べ終わったら麻里ちゃんに添い寝してもらって、大人しく休んでちょうだいね。」
「泉ちゃん、初めての事ばかりで、疲れちゃったみたいですね。」
「そうかも知れないわね。折角お洋服も新調したんだし、早く良くなって、みんなに見せて喜ばせてあげてちょうだいね。」
美佳さんはそう言ってわたしのお部屋から出て行きました。
寝る前に麻里さんと少しお話しました。麻里さんは結婚していたらしいですが、ご主人の浮気癖が直らなくて別れてしまったそうです。学校時代のお友達だった美佳さんが会社を始める時に誘われて「インナーメイト」に入られたと話してくれました。
「私、こんな風に見えるけど、恋愛にはいつも受身だったのよ。美佳さんにだいぶ開発されちゃったけど、やっぱりしてもらう方が好きなのよね。」
「麻里さんは結婚なさっていたのだし、男のひとの方がお好きなんですか?」
「それが不思議なのよね。美佳さんといると、男とか女とか関係なくなっちゃうし、一緒にいる人はみんな愛してあげたい、って思えてきちゃうのよ。」
「あ、それ判りますぅ。この会社には女のひと特有の好き嫌いみたいなのがないですよね。」
「そろそろ泉ちゃんを寝かせてあげなくちゃね。これが好きなんでしょ?」
麻里さんはそう言ってネグリジェのボタンを外してバストを含ませてくれました。
麻里さんのバストはお姉さまたちの中でも大きい方なのですけど、少し下がっていて弾力があります。
「泉ちゃん、我慢できなかったらお口でしてあげるけど、大丈夫?」
「麻里さんのバストを触っているだけで、とってもいい気持ちです。また具合が悪くなるといけないので、大人しく休みます。」
「聞き分けがいいのね。泉ちゃんの素直なところ、みんな気に入っているのよ。」
そうして、ぐっすり眠ってしまったようです。