「徹と呼ばれた頃 2」
- 2009/10/08
- 09:20
<今回のお話はストーリーの展開上、なかなか「官能」に辿り着けません・・
皆様に見放されなければ良いのですが・・>
「徹と呼ばれたころ 2」
僕の乗った特急は郡山まで停まりません・・
百合子さんの忘れたお財布は車掌さんに届けようとも思いましたけど、中を覗いたら1万円札がぎっしり・・
百合子さんはさぞかし困っているだろうと思うといても立ってもいられませんでした・・
その時お財布にクリーニングの預り証が入っていて、電話番号がありました。
僕は郡山で降りると10円玉を握り締めて公衆電話に向いました・・
ドキドキしながら百合子さんの番号を廻すと若い女の人の声が・・
「はい、池田でございます。どちら様でしょうか?」
徹 「あ、あのぅ僕特急で百合子さんの隣に乗っていまして、それで・・」
「承知いたしました。今奥様に替わりますので。」
百合子 「あら、さっきご一緒したお若い方かしら?お名前は何と仰ったかしら・・」
徹 「はい、僕徹です。さっき百合子さんがお財布を忘れたのに気が付いて・・」
僕は手に汗をいっぱい掻きながら受話器を握り締めていました・・
百合子 「わざわざお電話くださったのですね。本当にご親切に・・」
徹 「はい、今郡山なんですけど、大急ぎで宇都宮に向いますので・・」
百合子 「あら、おついでの時でよろしかったんですのよ。叔母様に会いにいかれるのでしょう?」
僕は気が動転して、茜さんのことをすっかり忘れていました・・
結局僕は茜さんに話をして百合子さんのいる宇都宮に向いました・・
百合子 「本当に来て下さったのね。何てお優しいんでしょう♪」
宇都宮に着く時間をお知らせして改札口に向うと、百合子さんが待っていてくれました・・
徹 「ぼ、僕こんなにたくさんのお金見るの初めてで、早く届けなきゃって・・」
百合子 「そうですわね。お若い方にしたらたしかに大金ですわね。」
顔色一つ変えずにこやかに僕を出迎えてくれた百合子さんって本当のお金持ちなんだな、って思いました・・
百合子さんの隣には若いお姉さんもいました。
この人がさっき電話に出てくれたんだな、って思いました・・
百合子 「あ、こちらはウチで働いてもらってる絵美と言います。絵美、徹さんにご挨拶を。」
絵美 「このたびは奥様が大変お世話になりました。わざわざ届けてくださって本当にありがとうございました。」
絵美さんという長い髪の綺麗なお姉さんに深々とお辞儀をされて、僕は戸惑ってしまいました・・
百合子さんが拾ってくれたお礼を、と言ってくださったのですがそんな大金を受け取るわけにいかないのでお断りをしました・・
百合子 「遠慮なさらずにたくさん召し上がってくださいね♪」
百合子さんがどうしてもお礼を、と言ってくださったので立派な中華料理のお店でご馳走になっているのです。
徹 「こんなに立派なお店、僕初めてです!」
百合子 「お味の方はいかがかしら?」
徹 「はい、こんなご馳走もやっぱり生まれて初めてです!」
あまり力強く言ったので、百合子さんと絵美さんは顔を見合わせて笑っています・・
百合子 「引き返して頂いたせいですっかり遅くなってしまいましたね。
叔母様のところへはいらっしゃらないの?」
徹 「はい、叔母も心配して直ぐに届けて差し上げなさい、って言ってましたから・・」
百合子 「あら、それは申し訳ないことをしましたね。これからではお帰りになるのも大変でしょ?」
時計を見たら9時を廻っていました。
今からだと最終の特急にぎりぎりなんですが・・
徹 「実は途中でお金を下ろすつもりだったんですが、もう閉まってるし・・」
郡山から宇都宮に引き返す予定外の出費があったので、鈍行で上野に帰る分しか残っていないのでした。
まさか電車賃を恵んでください、とも言えないし・・
百合子 「失礼だとは思いますけど、今晩ウチで休んでいってくださらないかしら・・」
徹 「でもそれじゃ悪いですし・・」
ホントはお願いします!って言いたかったんですけど、僕にだって常識くらいあるのです・・
百合子 「元はといえば私のためにご迷惑お掛けしたんですもの。是非そうなさって♪」
あんまり嬉しそうな顔も出来なかったのですが、結局百合子さんのお宅に泊めてもらうことになりました・・
皆様に見放されなければ良いのですが・・>
「徹と呼ばれたころ 2」
僕の乗った特急は郡山まで停まりません・・
百合子さんの忘れたお財布は車掌さんに届けようとも思いましたけど、中を覗いたら1万円札がぎっしり・・
百合子さんはさぞかし困っているだろうと思うといても立ってもいられませんでした・・
その時お財布にクリーニングの預り証が入っていて、電話番号がありました。
僕は郡山で降りると10円玉を握り締めて公衆電話に向いました・・
ドキドキしながら百合子さんの番号を廻すと若い女の人の声が・・
「はい、池田でございます。どちら様でしょうか?」
徹 「あ、あのぅ僕特急で百合子さんの隣に乗っていまして、それで・・」
「承知いたしました。今奥様に替わりますので。」
百合子 「あら、さっきご一緒したお若い方かしら?お名前は何と仰ったかしら・・」
徹 「はい、僕徹です。さっき百合子さんがお財布を忘れたのに気が付いて・・」
僕は手に汗をいっぱい掻きながら受話器を握り締めていました・・
百合子 「わざわざお電話くださったのですね。本当にご親切に・・」
徹 「はい、今郡山なんですけど、大急ぎで宇都宮に向いますので・・」
百合子 「あら、おついでの時でよろしかったんですのよ。叔母様に会いにいかれるのでしょう?」
僕は気が動転して、茜さんのことをすっかり忘れていました・・
結局僕は茜さんに話をして百合子さんのいる宇都宮に向いました・・
百合子 「本当に来て下さったのね。何てお優しいんでしょう♪」
宇都宮に着く時間をお知らせして改札口に向うと、百合子さんが待っていてくれました・・
徹 「ぼ、僕こんなにたくさんのお金見るの初めてで、早く届けなきゃって・・」
百合子 「そうですわね。お若い方にしたらたしかに大金ですわね。」
顔色一つ変えずにこやかに僕を出迎えてくれた百合子さんって本当のお金持ちなんだな、って思いました・・
百合子さんの隣には若いお姉さんもいました。
この人がさっき電話に出てくれたんだな、って思いました・・
百合子 「あ、こちらはウチで働いてもらってる絵美と言います。絵美、徹さんにご挨拶を。」
絵美 「このたびは奥様が大変お世話になりました。わざわざ届けてくださって本当にありがとうございました。」
絵美さんという長い髪の綺麗なお姉さんに深々とお辞儀をされて、僕は戸惑ってしまいました・・
百合子さんが拾ってくれたお礼を、と言ってくださったのですがそんな大金を受け取るわけにいかないのでお断りをしました・・
百合子 「遠慮なさらずにたくさん召し上がってくださいね♪」
百合子さんがどうしてもお礼を、と言ってくださったので立派な中華料理のお店でご馳走になっているのです。
徹 「こんなに立派なお店、僕初めてです!」
百合子 「お味の方はいかがかしら?」
徹 「はい、こんなご馳走もやっぱり生まれて初めてです!」
あまり力強く言ったので、百合子さんと絵美さんは顔を見合わせて笑っています・・
百合子 「引き返して頂いたせいですっかり遅くなってしまいましたね。
叔母様のところへはいらっしゃらないの?」
徹 「はい、叔母も心配して直ぐに届けて差し上げなさい、って言ってましたから・・」
百合子 「あら、それは申し訳ないことをしましたね。これからではお帰りになるのも大変でしょ?」
時計を見たら9時を廻っていました。
今からだと最終の特急にぎりぎりなんですが・・
徹 「実は途中でお金を下ろすつもりだったんですが、もう閉まってるし・・」
郡山から宇都宮に引き返す予定外の出費があったので、鈍行で上野に帰る分しか残っていないのでした。
まさか電車賃を恵んでください、とも言えないし・・
百合子 「失礼だとは思いますけど、今晩ウチで休んでいってくださらないかしら・・」
徹 「でもそれじゃ悪いですし・・」
ホントはお願いします!って言いたかったんですけど、僕にだって常識くらいあるのです・・
百合子 「元はといえば私のためにご迷惑お掛けしたんですもの。是非そうなさって♪」
あんまり嬉しそうな顔も出来なかったのですが、結局百合子さんのお宅に泊めてもらうことになりました・・