「徹と呼ばれたころ 1」
- 2009/10/07
- 17:36
昨日はお騒がせして申し訳ありませんでした。
ここのところ読者様から私の稚拙な小説もどきに、暖かい励ましのお便りをいくつか頂きましたので、以前から暖めていた題材を記してみようと思います。
まだストックも無いので途切れ途切れになると思いますが、暖かく見守ってくださったら・・
<時代設定は携帯電話など想像もつかない、移動に今以上に鉄道が活躍していた、昭和47年頃を想定しています。一人の若者が偶然出逢った上品なご婦人に惹かれていく・・そんなお話にしようと思っています。>
「徹と呼ばれたころ 1」
僕は会社の連休を利用して叔母である茜さんの所へ行くため、上野から東北線の特急に乗りました。
まだ17才の僕には特急なんて贅沢ですが、去年の連休に節約のために急行に乗ったら凄い混雑で郡山に着くまでにグッタリしてしまったので、今年はちょっと奮発したのでした・・
「ここ、よろしいかしら?」
荷物を網棚に乗せていたらとても上品な女の人に声を掛けられました。
「あ、僕一人ですから。窓側に座りますか?」
その人は見るからに上流な感じのするご婦人で、おまけにいい匂いがしました・・
「あら、お気遣いいただいて・・じゃあお言葉に甘えてよろしいかしら?」
「え~と荷物は・・網棚に乗せましょうか?」
この人と一緒だったら、席を2つ使ってもらって、ずっと立っていてもいい、くらいの気持ちでした(笑)
「お若いのに気が利くのね。お願いしてもよろしいかしら?」
僕は中野徹、17才です。
中学を出て東京の洋服を作る会社に就職しました。
両親が事故で亡くなったのが小5の時で、母の妹にあたる茜さんに引き取られました。
茜さんはせめて高校くらい、と言ってくれたのですが、ただでさえ女の子2人のところへ僕までお世話になるために夜のお勤めをしていたので、僕の方からお願いして今の会社を世話してもらったのでした・・
「どちらまで?」
女の人と僕が同時に尋ねたのが可笑しくて、いっぺんで友達みたいになってしまいました。
「私は宇都宮なんですよ。急に思い立ったものだからキップが取れなくて・・あなたは?」
「僕、郡山の叔母を訪ねるんです。去年立ち通しだったので、ちょっと奮発しちゃいました。」
僕の勤め先は洋服工場なので、大人の女の人がたくさんいるんですが、
こんな素敵なご婦人に逢ったのは初めてかも知れません・・
「それでたくさん荷物を持っていらっしゃるのね。学校はいつまでお休みなんですか?」
「いえ、僕17才なんですけど、洋服工場に勤めてるんです。3連休だったので1年ぶりなんです。」
「まあ、なんて感心な青年なんでしょう!ご苦労なさってるのね。」
そんな感じでその女の人と宇都宮に着くまでずっとお話していました。
あ、その人は百合子さんというお名前で、今は独身なんだそうです・・
百合子「あら、もう降りなくては・・すっかりお世話になってしまいましたね。お若い殿方とお話出来て素敵でしたわ。またどこかでお逢いしましょうね。」
徹 「僕の方こそすっかりお世話になりまして・・ありがとうございました。」
百合子さんは丁寧にお辞儀をして降りていきました。
なんだか夢のようなひとときでした・・
「これ君の?」
宇都宮から乗ってきた男の人が指差していたのは上品な婦人物のサイフでした・・
もしかして百合子さんの忘れ物?
<まだプロローグですので香ばしい(笑)シーンは出てきませんが、徐々にお愉しみ頂けるような描写にしていきたいと思います。ご感想などもお気軽に♪>
ここのところ読者様から私の稚拙な小説もどきに、暖かい励ましのお便りをいくつか頂きましたので、以前から暖めていた題材を記してみようと思います。
まだストックも無いので途切れ途切れになると思いますが、暖かく見守ってくださったら・・
<時代設定は携帯電話など想像もつかない、移動に今以上に鉄道が活躍していた、昭和47年頃を想定しています。一人の若者が偶然出逢った上品なご婦人に惹かれていく・・そんなお話にしようと思っています。>
「徹と呼ばれたころ 1」
僕は会社の連休を利用して叔母である茜さんの所へ行くため、上野から東北線の特急に乗りました。
まだ17才の僕には特急なんて贅沢ですが、去年の連休に節約のために急行に乗ったら凄い混雑で郡山に着くまでにグッタリしてしまったので、今年はちょっと奮発したのでした・・
「ここ、よろしいかしら?」
荷物を網棚に乗せていたらとても上品な女の人に声を掛けられました。
「あ、僕一人ですから。窓側に座りますか?」
その人は見るからに上流な感じのするご婦人で、おまけにいい匂いがしました・・
「あら、お気遣いいただいて・・じゃあお言葉に甘えてよろしいかしら?」
「え~と荷物は・・網棚に乗せましょうか?」
この人と一緒だったら、席を2つ使ってもらって、ずっと立っていてもいい、くらいの気持ちでした(笑)
「お若いのに気が利くのね。お願いしてもよろしいかしら?」
僕は中野徹、17才です。
中学を出て東京の洋服を作る会社に就職しました。
両親が事故で亡くなったのが小5の時で、母の妹にあたる茜さんに引き取られました。
茜さんはせめて高校くらい、と言ってくれたのですが、ただでさえ女の子2人のところへ僕までお世話になるために夜のお勤めをしていたので、僕の方からお願いして今の会社を世話してもらったのでした・・
「どちらまで?」
女の人と僕が同時に尋ねたのが可笑しくて、いっぺんで友達みたいになってしまいました。
「私は宇都宮なんですよ。急に思い立ったものだからキップが取れなくて・・あなたは?」
「僕、郡山の叔母を訪ねるんです。去年立ち通しだったので、ちょっと奮発しちゃいました。」
僕の勤め先は洋服工場なので、大人の女の人がたくさんいるんですが、
こんな素敵なご婦人に逢ったのは初めてかも知れません・・
「それでたくさん荷物を持っていらっしゃるのね。学校はいつまでお休みなんですか?」
「いえ、僕17才なんですけど、洋服工場に勤めてるんです。3連休だったので1年ぶりなんです。」
「まあ、なんて感心な青年なんでしょう!ご苦労なさってるのね。」
そんな感じでその女の人と宇都宮に着くまでずっとお話していました。
あ、その人は百合子さんというお名前で、今は独身なんだそうです・・
百合子「あら、もう降りなくては・・すっかりお世話になってしまいましたね。お若い殿方とお話出来て素敵でしたわ。またどこかでお逢いしましょうね。」
徹 「僕の方こそすっかりお世話になりまして・・ありがとうございました。」
百合子さんは丁寧にお辞儀をして降りていきました。
なんだか夢のようなひとときでした・・
「これ君の?」
宇都宮から乗ってきた男の人が指差していたのは上品な婦人物のサイフでした・・
もしかして百合子さんの忘れ物?
<まだプロローグですので香ばしい(笑)シーンは出てきませんが、徐々にお愉しみ頂けるような描写にしていきたいと思います。ご感想などもお気軽に♪>